シンポジウム
2026年1月30日(金)ハイブリッド開催
「徹底討論」 ~日本の酪農乳業をどうするか~
主催者挨拶
雪印メグミルク株式会社 代表取締役社長 佐藤雅俊

雪印メグミルク代表取締役社長の佐藤でございます。
本日はご多用の中、「雪印メグミルク創業100周年 酪総研創立50周年シンポジウム」にご出席賜り、誠にありがとうございます。
また、日頃より当社グループに対しまして、格別のご理解とご支援を賜り、心より御礼申し上げます。
年が明け2026年を迎えましたが、今日の私たちを取り巻く社会・経済情勢は、国際的な紛争を起因とする情勢不安や物価の高騰、気候変動、エネルギー問題など、かつてないほど複雑さを増しております。
また、企業活動においても、持続可能性や地域との共生が、これまで以上に重要なテーマとなっております。
消費動向に目を向けますと、総務省が1月23日に発表した12月の消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合が、前年同月比2.4%上昇と、食料品をはじめとする生活必需品の価格上昇が、依然として続いており、実質賃金の伸び悩みが個人消費全体の重しとなっている状況です。
牛乳・乳製品におきましては、乳製品向けは昨年6月、飲用向けは8月に実施された乳価引き上げが店頭価格に反映されたことで、一部商品では値上げの影響が見られ、生乳需給はやや緩和傾向にあります。
年度末にかけて学乳供給が停止する時期には、引き続き需給緩和が懸念されており、今後も需給動向を注視しながら、酪農・乳業界が一体となり対応していく必要があります。
さて、今後の世界は、気候変動、地政学的リスク、世界的な人口増加等、グローバルな課題に直面します。2050年代には、世界人口が100億人に達すると見込まれ、たんぱく質需要の急速な高まりと供給不足が顕在化する恐れがあります。乳製品を含む「動物性たんぱく質」の安定供給が困難になり、各国が自国の食料確保を優先する中で、日本のように食料自給率の低い国は、「食の持続性」をいかに実現するかが喫緊の課題となります。
こうした背景のもと、持続可能で環境に調和した酪農のあり方が求められています。牛乳・乳製品を消費者の皆さまに安定的にお届けするためには、国内の酪農生産基盤を強化することが重要であり、そのためにも、当社グループが生乳の価値向上に努め、魅力ある牛乳・乳製品の提供を通じ、酪農乳業の産業基盤を守ることが責務であると考えています。
当社は、昨年、前身のひとつである「北海道製酪販売組合」の設立から100周年という節目を迎えました。当時の日本は、まだまだ十分な栄養をとることが難しい社会環境にありましたが、そうした時代背景の中で、創業者たちは、酪農乳業を通じて、人々の「安定的で豊かな食生活の実現」を目指し、その志を「健土健民」という言葉に込めて出発しました。
そして私達は、創業100周年を機に、創業の精神である「健土健民」を「社会課題の解決に挑む精神」として再定義し、「将来の理想の社会」を示す「未来ビジョン2050」を策定しました。その中核をなすのが、環境と地域に配慮したリジェネラティブな酪農の実現です。
これは環境再生、資源循環、地域共生を重視した持続可能な酪農モデルであり、「食の持続性」の実現に向けた解決策の一つであると考えています。
しかしながら、次の100年を見据えると、現状のままでは酪農乳業の持続可能性が確保されているとは言えず、強い危機感を抱いております。
だからこそ、「食の持続性の実現」という社会課題と、酪農乳業が抱える産業課題に真正面から取り組むことが、当社の重要な使命であると認識しております。
今年度の酪総研シンポジウムのテーマは、「日本の酪農乳業をどうするか」と題し、基調講演2題と総合討議を行います。有識者の皆様よりご講演と話題提供をいただき、リジェネラティブな酪農の実現を目的とした、酪農乳業界の方向性を議論いただければと期待しております。
本日のシンポジウムが、皆様にとって、実りあるものになりますよう、お願い申し上げ、私の開会の挨拶とさせていただきます。
それでは、本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
以上

