シンポジウム

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2023年2月2日(木)ハイブリッド開催

今こそ飼料の国産化を!~それぞれの地域で出来ることを考える~

主催者挨拶

雪印メグミルク株式会社 酪農総合研究所長 戸邉 誠司

皆様、こんにちは。雪印メグミルク㈱酪農総合研究所の戸邉でございます。日頃より、私ども雪印メグミルクグループ並びに酪総研の取組みに対しまして、ご理解とご協力を賜っておりますこと、心より御礼申し上げます。また、本日のシンポジウムでは札幌会場での参加・WEB視聴での参加を合わせ260名あまりと、多数の皆様方にご参加頂きまして本当にありがとうございます。あいにく昨日から今日にかけて北海道内は暴風雪に見舞われ、残念ながら講師のお一人である大樹町の村﨑さんはリモートでご講演頂くことになりました。悪天候の中、ここ札幌会場に足を運んで頂いた皆様方には、重ねて感謝申し上げます。

さて、2020年1月に新型コロナウィルスの国内初感染が確認されて以来、先月で丸3年を迎えました。この間、コロナ禍による国際輸送・供給網の混乱、ウクライナ危機による原油や穀物等の供給減少・価格高騰等によって、全世界であらゆる物価が上昇しました。
これに加えて、我が国においては、急激な円安進行が物価上昇に拍車を掛けたことから、政府は原油価格・物価高騰等総合緊急対策を打ち出すことによって、コロナで低迷する日本経済の下支えを目指すとともに、改めて食料安全保障への関心が高まり、議論が始まっているところです。

酪農乳業界に目を向けますと、コロナ長期化の影響で、乳製品過剰在庫の解消が喫緊の課題として顕在化したことから、酪農乳業一体となって、生乳出荷抑制や乳製品需要創出等の取組みを進めていましたが、昨年の歴史的円安によって、飼料・肥料など資材価格急騰が酪農経営を直撃し、このままでは離農が増加し、国内酪農生産基盤の弱体化を招きかねない危機的状況となっています。私も数十年来この業界に身を置いておりますが、配合飼料や輸入乾牧草の価格がkg当たり100円を超えるような事態が現実になることを誰が想像出来たでしょうか。まさに緊急事態に直面していると感じているところです。

現状、我が国の総合食料自給率は供給熱量ベースで37%、先進国の中で最低水準と言われています。牛乳乳製品においては、重量ベースの自給率は61%と言われていますが、飼料の多くを海外に依存していることを考慮すると、牛乳乳製品自給率は26%と算出されます。
また、飼料自給率は全体では25%、その内訳として粗飼料自給率78%、濃厚飼料自給率12%となっており、現下の不測の事態を契機として、酪農経営の強靭性を高め、牛乳乳製品を安定供給し続けていくためには、改めて飼料国産化への取組みを強化・推進することで、不確実性が高まる海外情勢からの影響度を緩和し、日本酪農の持続可能性を高めていくことが、益々重要となっています。

こうした状況を踏まえまして、本日の酪総研シンポジウムでは、「今こそ飼料の国産化を!~それぞれの地域で出来ることを考える~」をテーマとして、まずは拡がりを見せる国産濃厚飼料の利活用に係る現状や今後の展望、またベースとなる自給粗飼料の確保・流通、そして制度・政策的な視点でのお話しも頂きながら、それぞれの地域で出来ることは何かを考え、更に地域を超えて国産飼料の利用を増やしていくことを、総合的に検討していく場にしたいと考えております。

本日、まず講演1題目は、「国産濃厚飼料の利活用について」というテーマで、東京農工大学 大学院農学研究院 教授 青木康浩先生にご講演頂きます。

講演2第目は、自給飼料利活用に係る北海道現場事例として、お二方からご講演頂きます。
まず、お一人目が、「気象リスクを分散する自給飼料生産の取組み」をテーマに、北海道大樹町の酪農家 村﨑隆一さんにリモートでご講演頂きます。
続いて、「飼料用トウモロコシの拡大と牧草の適期・多回刈りへの挑戦」をテーマに、北海道標茶町の酪農家 大宮睦美さんにご講演頂きます。

講演3題目は、自給飼料利活用に係る都府県現場事例として、「地域資源の稲WCSを有効活用する体制づくり」をテーマに、千葉県のファームサポートかとり株式会社 代表取締役 長嶋透さんにご講演頂きます。

その後の総合討議では、ゲストコメンテーターの酪農学園大学 農食環境学群 循環農学類 教授 相原晴伴先生から、「制度・政策面からの視点」をテーマに情報提供頂きながら、座長に雪印種苗株式会社 事業本部トータルサポート室長 龍前直紀さんをお迎えして進めてまいります。
ここ札幌にご参集頂いた皆様だけでなく、リモートで参加頂いている皆様方からも、是非とも活発なご質問・ご意見を頂ければと思います。限られた時間ではありますが、どうぞよろしくお願い致します。

最後になりましたが、本日のシンポジウムが課題解決に向けての一助となる有意義なディスカッションの場として頂くことを祈念致しまして、開会の挨拶とさせて頂きます。本日は、宜しくお願い致します。

以上

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