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広報「酪総研」

時の話題

No.20-5 総合討議

 

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座長
 廣田先生への次の質問です。講演で心不全の死廃が紹介されていましたが、具体的な原因、ケースがわかれば教えて下さい。虚弱によるものが一番多いのでしょうか。

廣田先生
 原因がわからないものが心不全と診断されます。例えば、天然孔からの出血もなく眠るように死亡していたので特定の病死ではない。解剖ができないのでどのような原因で死に至ったのか特定できない。消去法的に診断された病名が心不全となります。心不全による死亡頭数は乳牛の死廃事故の第1位ですが原因究明には至らないのが現状で、何かしらプロジェクトなどで原因を究明しない限りは心不全の数だけが増えていくであろうという危惧を持っています。

座長
 廣田先生への最後の質問票です。死廃率は平均7.5%とありますが、片や0%、片や20%と生産者ごとに相当なバラツキがあると聞いたことがあります。また事故率が低い生産者は長年継続して低いとも聞きます。まずは何から取り組むのが効果的か教えて下さい。もしくは優良な生産者に共通する特徴があれば教えて下さい。

廣田先生
 以前から言われていることですが、牛を良く見る、これに尽きます。平成16年から子牛の共済を開始しました。当初の掛金率は3%でしたが被害率は7%、つまり差分の4%が赤字となり、連合会で10億円の赤字を負担することになりました。それを機に現状分析した結果、分娩監視が大切という結論に至り、分娩監視用カメラの導入などに取り組みました。カメラを導入した酪農家数は少数でしたが、その酪農家は他の酪農家と比べて被害率は低下する傾向にありました。また、その事例以外でも分娩事故が少ないところは、当然、分娩房というキーワードがあります。また牛舎と住宅との距離が近い酪農家も事故率が低い。いずれにせよ、牛にどれだけ目を向けられるかに尽きると思います。

熊野先生
 冬期間の子牛の死産をなくすため、昨年からホクレンが酪農生産基盤強化対策を実施しています。我々が聞いているところによると、北海道の酪農家の1/4にあたる1,352戸もの酪農家が事業を利用しています。多いのはカーフジャケット、カーフハッチ、赤外線ヒーターで、カーフウォーマーは約410戸、約500台、意外に多かったのが分娩監視カメラで約220戸、約350台と聞いています。平成29年度も継続される事業なので早めに利用されたらいかがかと思います。我々もそのような酪農家を対象に調査し事例集を作ろうとしているところですが、大変評判が良いと聞いています。

座長
 熊野先生への質問です。乳質改善の取り組みについては、各地域で様々な形で実施されていると思われるが、成果を上げている地域での取組事例があれば、ご紹介願います。

熊野先生
 講演で話した平成10年代の取組内容からみれば現在はレベルが落ちてきているのが実態ではないかと思います。例えばロボット搾乳での細菌数増加の問題が起きています。ロボットの場合、機器メーカーは牛床の汚れから乳頭清拭が不十分になるといい、酪農家はロボットの洗浄方法が悪いという認識の違いがあります。一方、優良事例を紹介すれば、オホーツクはまなす農協管内滝上町の酪農組合では、一昨年は植生改善、今年度は子牛死産や生産性向上に取り組んで良い事例になっています。これは農水省でも事例紹介しているし、今後は我々も事例紹介していきたいと思っています。

座長
 それでは会場からの質問を受け付けたいと思います。質問のある方は挙手願います。

会場質問①
 廣田先生にお伺いします。死廃事故の記帳記録に関して、乳検データは死廃と記載されるだけですが、共済カルテはどのような疾病を経て死廃に至ったか詳細が記載されています。そのため現場では共済カルテがとても貴重なデータになります。今後のデータのフィードバックについてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。

廣田先生
 現在、北海道内ではすべてのカルテが電子化されサーバに格納されています。それを抽出してなんらかの対策に役立てることは可能です。しかし、それを実施するのかしないのかが問題となります。つまり、このデータは我々にとっては共済金請求データとなるため、情報公開の是非を問わなければいけません。本人の承諾があれば良いだろうという意見もありますが、それが解決できたら今度はどこまでデータを公表するのかという問題もあります。今、ベストパフォーマンス実現事業の打合せにおいても、このニーズが高いことは我々も十分承知していますので、これから検討していかなければならない事項であり、電子データの還元を検討する時期に来ていると考えています。

会場質問②
 最近、酪農主産地の離農が進み、地域崩壊にまで至る勢いを感じます。それを突き詰めていくと労働力不足が根源にあります。今、全国的に労働力が不足し、海外からの労働力を当てにしなくてはならない現状で、すでに個人の努力の限界を超えています。今日の講演をお聞きし、個々の技術的な問題への解決策はわかりましたが、労働力不足についてどのようにお考えなのかお聞きしたいです。

佐藤先生
 ご指摘いただいた内容は私も現場を回っていて強く感じています。特にここ数年で驚くほどの勢いで海外からの労働者が生産現場に従事しているのを目にします。この問題については一企業の技術屋の立場の力の及ぶ話ではありませんが、そのなかで生産性をどう持続するかについてお話しすると、今日お話したとおり基本技術を励行しなければ生産性は下がる一方です。しかし、外国人労働者に今まで蓄積してきた技術を習得してもらうのは難しいと思います。よって監督者による外国人労働者向けの作業リスト化や作業チェック機能の確立によってミスやロスを防ぐことが生産性の維持につながると思います。

廣田先生
 その問題は痛いほど良くわかります。私の今の立場から話しますと、現在、北海道内NOSAIの獣医師は720名ほどいますが、当然、定年退職等により獣医師が減っていきます。そのため毎年50名近くの獣医師の募集をしていますがなかなか充足しない。それゆえ現場への獣医療サービスが行き届かないというもどかしさがあります。つまり本来なら回復できるロスができていない可能性もある。我々もどうやって獣医師を確保しようかと必死にあがいているのが現状です。これらのことは今のご質問に関連してくるのではないかと思います。

座長
 それでは時間も過ぎましたので、意見交換会を終了させて頂きます。
 ありがとうございました。


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