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広報「酪総研」

時の話題

No.20-5 総合討議

 

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座長
 以上で質問票でのご質問は終了し、ここからは会場の皆様方からの質問をお受けします。
 まず、今回は搾乳ロボット関連の話題提供がありましたが、メーカーの方で日頃現地で気付いたこと等があればお聞かせ願えますでしょうか。

水田氏(デラバル株式会社)
 搾乳ロボットに関しましては、ご講演にもありましたように実際に導入するに当たって様々なことを検討して頂くことになりますが、特に牛舎のレイアウト、飼料給与の体系などがその一つになります。今日のお話の内容は搾乳ロボットの一般的なところで、我々のメーカーにも適用されるものであり、非常に参考になる内容であったと思います。
 付け加えてお話しをさせて頂くと、今回のお話の中で牛舎のレイアウトとしてフリーと一方通行の対比が紹介されていましたが、弊社では、フリーだけでなくゲートを使い牛の通行を制御するレイアウトをご提案させていただく場合もあります。デラバルでは牛舎のレイアウトとして、「フリー」、「フィードファースト」、「ミルクファースト」の3種類のレイアウトをご用意し、今日お話して頂いたような飼料給与体系、或いは、労働力の軽減など、お客様の優先事項にあわせたレイアウトをご提案しています。ご興味のある方は、我々にコンタクトして頂くとより深いご提案が出来るかと思いますので、よろしくお願いします。

座長
 先ほど堂腰先生のお話の中にもありましたが、サツラク農協さんの牧場で搾乳ロボット8台が導入されたということで、ご苦労された点や現状についてお聞かせ頂きたいと思います。

請川氏(サツラク農協)
 江別市で法人が立ち上がり、デラバルさんのシステムでロボット8台を入れさせて頂きました。昨年は初産牛を中心に買い集め、現在320頭の搾乳を行なっています。現在の出荷量は1日当り10t前後であり、1頭当り乳量は31.5〜32sです。
 昨日、堂腰先生にも見て頂きましたが、搾乳ロボットシステムとしてはワンウエイでミルクファーストを採用しています。飼料給与はTMRで34s程度、ロボットで乳量40s当り3sの設定を行なっています。アシドーシスの予防を考えて、ロボットでの配合飼料給与量は抑えめに設計しています。
 最終的には480頭規模が目標ですが、再来年には全ての牛舎が満床になる予定で進んでいます。

座長
  堂腰先生も現地に伺ったとのことですが、補足等がございましたらお願い致します。

堂腰先生
 ロボットの導入においてこれまで考えてきたのは、家族経営の中で1台、2台を入れるという形が基本的なスタイルでしたが、今後はこのメガファームさんのような形で一気に8台入れるなど、多様なロボットの使い方も見られると思います。
 今回は規模拡大の部分をお話ししましたが、それ以外では、例えば畑酪地帯では酪農を兼業化して畑の方に力を入れる形も見受けられます。これまで酪農というのは専業が当たり前でしたが、ロボットを入れることによって兼業化して所得を確保していく可能性も考えられます。これについては今後このような農家さんの調査をさせて頂きながら、更に検討していきたいと考えています。

座長
 次に乳検に関連して、興部町ではオホーツク農業科学研究センターで牛群検定のデータ等が管理、活用されていると思いますが、宿野部係長より何かご意見を頂けないでしょうか。

宿野部氏(オホーツク農業科学研究センター)
 当センターでは農協の乳検データを使わせて頂いておりますが、現在のところ乳検加入率が低い状況にあります。今日のお話しの中で、スマートフォン等を活用した新たな取り組みや、ゲノミック等の色々な情報が分かりやすく使えるようになるということですので、農家の方々にも紹介できればと思います。

座長
 それでは、TACSしべちゃの代表取締役でもある、JAしべちゃの取組合長に、ご意見を頂きたいと思いますが、宜しいでしょうか。

取氏(JAしべちゃ組合長 兼 TACSしべちゃ代表取締役)
 まず、何故農協と町と雪印種苗かということがあろうかと思いますが、基本的に私の考え方は家族経営が中心でございまして、法人に対してはこれまでなかなか取り組めずにいたところです。ただ、TPPの問題や穀物高騰の問題の中で離農者が増えており、草地酪農地帯の標茶町において、この草地をどう活用していくかという課題の中で法人の立上げを考えたところであります。
  そこで何故、雪印種苗かということですが、基本的に北海道酪農というのは雪印に支えて頂いたということもありましたが、特に草地酪農という部分の中では雪印種苗のノウハウというものを我々がしっかりと受け止めながら、組合員にも参考にして頂きたい、要は草地酪農でいかにやれるかという部分を、地元ばかりではなく他の地域にも示していく必要があるということで、雪印種苗さんにお願いした経緯にあります。幸い、現状のような形になっていますので、種苗さんには非常に感謝しているところであります。

平原氏(八雲町・酪農家)
 八雲町で酪農家をやってます平原と申します。TACSさんへうかがいたいことがあります。
 町、JA、民間企業の三者が共同で法人を興すということで、農業新聞等でも取り上げられ、かなり注目されましたが、まず最初にJA主導で進められたのではと認識しております。
 面白いと思ったのは廃校利用の宿泊施設で、小学校などの町営施設も町が一緒にやることでやりやすかったのかなと思っています。北海道の農村エリアでは離農や人口減少が問題になっていますが、私の住む八雲町でも耕作放棄地や廃校などが出ていますし、今後も増えていくと思います。
 今回TACSの立ち上げに当たり、いくつかの離農農家の施設や草地の取り纏めがあったと思うのですが、そのあたりの苦労というか、ノウハウがあればお聞かせください。
 特に廃校利用は、どのようにしてTACSに取り込むことができたのか、非常に気になる部分であり、お聞かせ願えればと思います。

座長
 これは取組合長にお願いできますでしょうか。

取氏(JAしべちゃ組合長 兼 TACSしべちゃ代表取締役)
 当初この法人を考えた時は研修牧場という意味合いも含めて検討した経緯がございます。ただ、研修牧場という位置づけにしますと指定団体に牛乳を出せないことから、農業生産法人の形としました。そして研修の部分は、幸い町も出資して頂いている中で、たまたま近くに廃校になった学校があったのを上手く活用しようという話の中での取組みで「しべちゃ農楽校」が生まれました。正直、運が良かったという表現が当たっているのかなと思っています。

座長
 まだ若干時間がございますが、その他のご質問、ご意見はありますでしょうか。

出雲氏(後志農業改良普及センター)
 龍前先生にお伺いします。
 乳質の関係でありますが、導入後、体細胞数がかなり下がってきているということで、先ほど実習生の方に体細胞8万以下で奨励金を出しているとお聞きしました。私もフリーストールで規模拡大する現場に立ち会ってきました。言葉は悪いですが、家畜市場から導入した寄せ集めの牛群というか、そういうのは暫く乳質が落ち着かないのが現状であったと思います。このように低い値を維持できているのは素晴らしいことだと思います。
 具体的にこのような低いレベルにしている要因は何か。淘汰しているのか、搾乳方法なのか、その点を具体的に教えて頂きたいと思います。

龍前先生
 先程も少し触れましたが、導入当初は乳量よりも牛のストレスを解消させようということでメニューの濃度も低いレベルで1、2ヶ月調整しました。導入当初については全頭の乳質の情報はよく分からないので、体細胞検査と細菌検査を全頭実施し、高い牛については分房別に全てスクリーニングした経緯にあります。順次、高い牛については治療にかけますし、どうしても体細胞が下がらない牛は別搾りにして、乳質だけは良いものにしていこうということで取り組んでいます。
 実際、始めた当初は17〜18万個/ml台でしたが、その位の体細胞ですと1万個/ml位上下しても逆に研修生も含めて反応が薄いのですが、これが10万個/ml以下になって一桁になった時に、6万〜7万個/mlになっただけで研修生達が騒ぎ出すようになり、このような状況が連鎖してきたというのも要因かなと思っています。
 なるべく牛にストレスをかけないということと、早期の治療等の対策を心がけていますが、どうしても治療をかけても良くならない乳房は出てきますので、そのような牛は別搾りで廃棄して、ある意味手間をかけながら出荷しています。

座長
 有難うございます。他にご質問がありましたらお願い致します。

米村氏(江別市・酪農家)
 今日は貴重なお話を有難うございました。江別で酪農をしている米村と申します。
 龍前先生への質問ばかりで申し訳ありません。お話の中で牧場が目指すコンセプトは自給飼料率を上げるということですが、普通に考えて6割を自給飼料でやっていくこと自体も、今の酪農の現状の中でかなりハードルが高い気がします。そのなかで今取り組まなくてはならないというのが、粗飼料の質と収量を上げていくことだと思いますが、まずデントコーンが採れないと収量的にも厳しいと思います。更にデントコーンの収量を上げるための肥培管理とか、土壌改良とかも必要だと思います。
 もし草地でもっと収量を上げるとすれば、どこでやっても更新後2年や3年は収量が上がると思いますが、それを維持することが出来ずにどんどん収量を落としていく、そしてまた更新しなくてはならないというサイクルが早くなって、結果的に費用がかかるというのが現状だと思います。
 このことについて、TACSでは今後草地を維持するための技術や取り組み方法について考えていますか。

龍前先生
 メニューの中での粗飼料比率を目標としては6割位までと考えていますが、いかに粗飼料の栄養価を上げられるかというのは挑戦になると思います。使っている牧草のオーチャード、ペレ、アルファルファといった形にしていこうと思っていますし、糖度があって嗜好性が高くて、ミネラルの高い牧草を選んでいますが、それらの草を中心にして、成分の高いものにどこまで持っていけるかについては、ハードルとして6割を目指しています。
 あとデントコーンも含めた反収を上げていくためには、土壌改良をしなくてはならないと思います。この標茶町のTACS周辺は火山灰土壌ですが、実際土壌分析した結果ではリン酸が極端に高くて、カルシウムとマグネシウムが低いというのがこの地域における典型的な土壌の状態です。その中で、pHはそんなに低くないとか、カルシウムの絶対量が少ないとか、そういったことが浮き彫りになっています。当然、過剰なものはなるべく削減し、不足しているものをメインに投入していくわけですが、色々なものを長期的な視野で活用しながら反収を上げていければと思います。
 少し抽象的な言い方しかできませんが、私自身、3年で結果が出るとは思ってはいません。10年単位くらいで考える必要があると思います。基本的な作業をいかに継続するかが重要だと思っていますので、そのことを念頭に今後取り組んでいきたいと思います。

座長
 他にご質問等はございませんでしょうか。
 無いようでしたら、時間になりましたので、これで意見交換会を終わりたいと思います。
 3名の先生方、大変有難うございました。皆さん、もう一度拍手をお願い致します。



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