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No.17 平成23年度酪総研シンポジウム「牛乳・乳製品の機能性・おいしさを科学する」第2部「牛乳のおいしさと、その決め手」日本獣医生命科学大学 教授 阿久澤 良造

はじめに
 我々は食品を購入する際、おいしいから購入する、健康に良いから購入する、或いはその両方で購入するなどの選択があると思います。牛乳はどちらで選んでいるのでしょうか。昔は生きる為に食べられる物を食べていましたが、最近はただ生きるだけではなく健康に生きる為に、いつ何をどの様にして食べるかということで商品を選択し摂取していると思います。

 牛乳はおいしさを語る上では非常に個性が強くありません。チーズ(健康維持訴求)やヨーグルト(嗜好性訴求)の様にはっきりしたものがありません。よっておいしさや、おいしさの決め手は語りづらいですが、その様な研究をされている方のデータがありますので、微妙である牛乳のおいしさについてお話をさせていただきます。(図1)


(図1)

1.「おいしさ」と嗜好性

 おいしさの基準には個人差があります。おいしさに関わる要素は味覚、匂い、見た目など直接的な要因と間接的な要因があり、それらでおいしい、まずい、好き、嫌い、と判断しています。それが嗜好性です。多くの人がおいしいと言われる物がおいしい物となり、多くの人がまずいと言われる物がまずい物ということになります。(図2)

 おいしい牛乳について特に定義はなく、しいて言えば正常な牛乳に個人的な好みが加わった表現です。牛乳のおいしさを表現する因子は牛乳の成分が基本ですが、主要成分以外の成分も関わっています。更にその成分に多くの要因が影響することで風味は形成されます。風味というのは味、香り、テクスチャーであり、最終的においしい牛乳ということになります。(図3)


(図2)


(図3)

2.乳組成と風味

 牛乳は非常に固形分含量が高く、飲み物でありながら絹ごし豆腐よりも高く、おいしさの要因はかなり詰まっています。(図4)

 風味とは味、匂い、テクスチャーであり、味は舌にある味雷の味孔に到達した時に感じ、匂いは脂肪分解臭などの化学物質が鼻腔粘膜に到達した時に感じ、テクスチャーは口の中での感覚です。(図5)


(図4)


(図5)

 味に関わる乳成分には、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味などがあります。(図6)

 匂いは脂肪分解臭の影響が大きいですが、その他にも酸化臭や飼料臭があり、それらが鼻腔粘膜に到達した時に感じます。匂いには、鼻で感じる匂いと食べた物が鼻腔をぬけた時に感じる匂いがあり、食べておいしいと感じるのは食べたものが鼻腔をぬけた時の匂いになります。牛乳の香気成分は、主に遊離脂肪酸やカルボニル化合物よって形成されています。正常な牛乳の匂いである新鮮牛乳臭には、ブタン酸エチル、ヘキサン酸エチル、微量の硫化ジメチルが絶妙なバランスで含まれています。その他アセトン、ブタノン等が複雑に絡み牛乳の匂いを作っています。後程話題になるヘキサナール(酸化臭)をなるべく抑える様な餌や加工法も牛乳の匂いに関わってきます。(図7)


(図6)


(図7)

 また、牛乳が舌や口腔に接する感覚、脂肪、蛋白質などがテクスチャーに関わってきます。(図8・9)


(図8)


(図9)

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