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広報「酪総研」

時の話題

No.15 平成22年度酪総研シンポジウム「酪農現場におけるバイオセキュリティ 〜予防とリスク低減のために〜」 総合討議「意見交換(要約)」

1. 公共牧場での防疫対応はどうしているか?
(佐藤氏)
 BVD対策は、下牧牛で発症を確認したことがあり、農場検査と入牧されていた約420頭の血液検査を実施した。検査費用は、JA50%、農家25%、共済25%負担。その後の対策は発生した公共牧場での入牧時に全頭検査を実施した。ある町営牧場では、補助事業で家畜保健衛生所が3年間検査を実施している例もある。公共牧場は感染機会が多いと推測されるので、すべての牧場で検査できる体制が望まれる。
 BLV対策は、感染対策が取られていないので今後の課題である。S町では、過去に発生した経緯から、一部の牧場で入牧時にサーベイランスを実施している。

2. 行政へのお願い。
 口蹄疫の侵入防止対策として、空港等での靴底消毒の一層の強化、発生時のすべての車両消毒ができるようご支援をお願いしたい。特に、この時期は、海外からの旅行者も多いことから侵入防止策を徹底して欲しい。

3. 野生鹿への対策は?
(立花氏)
 仮に侵入した場合は、現時点では何の手当てもない状況である。ただ、世界的には、野生動物から家畜への感染報告はない。また、家畜から野生への感染事例も少ない。宮崎では、猪や鹿について検査したが感染事例はない。
 可能性は低いかもしれないが万が一入ったら、その危険性は非常に大きいと考える。

4. 農水省における口蹄疫の発生防止に万全を期するための、2月の対策強化月間での北海道の取り組みは?
(立花氏)
 海外旅行者が多い時期、また、これまでの発生時期等から全国的に実施する。牛や豚の飼養農家全戸の聞き取り調査(調査項目について)や机上の防疫演習等を行って緊張感を継続する。

5. ヨーネ病は、アメリカやインドなどでは法定伝染病指定扱い等になっていないが、OIEや我が国はどのような対応があるか?
(佐藤氏)
 個人的な考えであるが、アメリカではヨーネ病やサルモネラ症が大変に蔓延していて、ヨーネ病は酪農場の70%弱、サルモネラ症は30%超がサーベイランスで出てくる(2008, 2005, United States Department of Agriculture)ので国の対策の限界を超えるのでは。また、家畜価格が安価なので淘汰というアメリカ的な対策が取られているのでは。

(立花氏)
 経済的な損失を担当者が理解している。豪州では清浄化プログラムを作成して農場負担でコントロールしようとする動き、ヨーロッパでも汚染率が少ない地域は同様な対策を進める動きがある。

6. ヨーネ病の検査方法が変わった、従来のような検査にならないか?生産サイドでは窮屈になったようである。
(立花氏)
 乳用牛(搾乳牛)では糞便培養では培養の期間が3か月間となり、陽性の場合は、牛乳出荷の規制が採材した時点までさかのぼるために実施できない状況にある。エライザ法でスクリーニングしている。この判断は厚労省の食品衛生法上によるものであり、食品に関してのことなので農水省から方向性を示すことは難しいようである。
 温度感作で不活化できる研究成績もあり、科学的データを基に議論がされていくと考える。

7. ヨーネ病診断が完全にされていないことで、わからないうちに蔓延する危険があるのでは?
(立花氏)
 同様に考える。PCR法などで糞便培養等を含めて農場対策を推進して行くことが必要であり、糞便培養と同感度の検査が望まれる。

8. 伝染性の強い牛白血病の侵入対策は?
(立花氏)
 まずは、陽性牛を入れない。心配される場合は検査して抗体の有無を知る。感染しているかどうかを確認する。白血病対策の方向性は、抗体(−)牛をいかに確保するかである。
 感染経路である初乳や直検手袋及び血液を介する伝播等をイメージして地道にコントロールしていくことが大切である。血液中のウイルス量を測定して、リスクの高い牛から淘汰する方法も考えられる。また、抗体陰性農場や未発症農場では、導入時の検査をすることが大切である。

9. サルモネラ症が成牛で増加しているのはどうしてか?
(立花氏)
 平成4年頃から散発的にでてきた。昭和56年頃に発生ピークがあり、このころは、乳用雄子牛の集団飼養が始まった頃である。推測であるが、農場内にすでに常在していたのか、そのころから飼養密度が高くなってきたのか、飼養環境が変わってきたのか、菌のタイプ(病原性、ファージタイプ等)の変化なども原因と推測される。肉用牛で減少しているのは、乳雄子牛飼養の飼養環境(消毒、カウハッチ)などの改善効果によると考えられる。

10. 獣医師の確保、産業動物獣医師の確保、公衆衛生や畜産物の安全安心へのさらなる意識付けへの教育現場における取り組みは?
(林氏)
 受験志望の段階では動物のお医者さんというイメージが多いよう。高校生段階でインターンシップという形で出前説明も行っている。入学時には、獣医師の役割について理解させている。また、道の家畜保健衛生所でインターンシップもお願いしている。
 以前よりは、公衆衛生の重要性への理解は深まっていると思う。

11. 有事の獣医師確保のネットワークつくりは?
(林氏)
 いろいろな専門性を持った獣医師がいる。慣れない作業等への事前経験のシステム等の検討も必要であろう。

12. 運動器病である疣状皮膚炎への対策は?
(佐藤氏)
 これを根絶することは難しい。繋ぎ牛舎での出入口消毒で効果があったとする報告もあるが、新たな侵入の問題もある。私信ではあるが、最近のアメリカの報告では、ステージ区分があり、最終的には完治することはないのではないかと考えられている。慢性化、再感染もある。いかに侵入させないか、早期の治療を。本州の事例で石灰乳治療の報告もあるが、強アルカリ性で蹄が柔らかくなって、他の蹄疾患になることがある。亜鉛剤の効果も確定していない。

バイオセキュリティの課題
  我々は、動物を扱っている。
  我々は、人を扱っている。
  我々のコントロールの及ばないものがある。
バイオセキュリティの「窓」
  いくつかの「窓」は閉めることができる。
  「窓」の数を減らすことができる。
  我々は、広く開いた「窓」を無くさなければならない。