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No.15 平成22年度酪総研シンポジウム「酪農現場におけるバイオセキュリティ 〜予防とリスク低減のために〜」 「リスク低減のための提言」 酪農学園大学獣医学部 学部長 林 正信

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5.衛生指導体制について
 家畜保健衛生所の獣医師について、十分な衛生指導ができる体制になっているか? 宮崎、北海道、全国をスライドに要約している。

 獣医師1人当たりの家畜頭数(家畜衛生単位/管理戸数は、宮崎県が1万5342頭/264戸、北海道が8,708頭/61戸、全国平均が4,244頭/52戸)

 状況的に言うと、宮崎県の場合は、少し、心配、疑問、弱点があったかと思われる


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6.今回の口蹄疫を総括すると

(1)バイオセキュリティレベルの高いはずの県の試験場、家畜改良事業団、経済連においても感染が発生していること
(2)管理がされていても汚染・事故は起こると考えることが前提となる

(1)なぜ事故は起こるのか?

 SHELモデルによる事故防止対策をスライドに示している。中心にあるのが人間(L)で、人の部分が重要になる。


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(2)人間のエラーはなぜ起こるのか?

 スライド(右上)にその要因を示しているが、結果として、ルール違反が起こっていることになる。

(3)ヒューマンエラーを防止するために

(1)防止法:教育訓練、研修会、講演会
 知識の習得、注意の喚起、ルールの徹底、情報の共有化
(2)それでも事故はおこる時はおこる

(4)もし、起こってしまったら

(1)拡げない、増やさない
(2)持ち出さない
(3)感染源にしない
(4)そのためには、早期発見・早期消毒
 ⇒その体制はできているか(疾病の種類で異なる)
 ⇒臨床症状が見られた時には、既に拡がっている可能性が高い
(5)経済性を考慮し、実行することが必要となってくる

(5)口蹄疫を例にとって考えると

(1)10年前の宮崎県、北海道での発生は、防疫頭数で740頭、今回29万頭、前回の発生では封じ込めが非常に上手くいき、成功した。それが今回はネガティブに働き(油断につながり)、前回の発生が教訓とならず大規模で、経験のない発生につながった。
(2)近隣諸国における発生状況をスライドに示しているが、韓国、台湾などの状況より、何時、国内で発生しても不思議ではない状況が続いている。


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(3)発生頭数と殺処分頭数を4月20日の初発から7月上旬までをスライドにプロットし下表には、判明から防疫措置完了までの日数を示している。4日〜10日〜2週間とかなりの期間を要し、期間がかかることで、感染も拡がったと考えられる


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(4)宮崎県内のNOSAI職員の動員状況は(4月29日〜6月30日)、殺処分、ワクチン接種などに従事した獣医師数は延べ803名(実数78名)
消毒などの活動に従事した職員は延べ800名(実数239名)
(5)全国NOSAI組織からの獣医師の派遣は(6月4日〜6月30日)、延べ418名(実数14道県56名)
後期になってから県外から派遣されていることが判り、如何に早期に必要な獣医師数を確保するかが問題(課題)となる。
(6)獣医師の現状
○届出されている獣医師は、全国で約3万5千人、公務員が約26%、産業動物獣医師は約12%、4,200人であり、その25%が北海道、20%が九州で勤務しており、地域的偏在はあるが平常時に絶対数では不足していない。
○非常時には発生地域では、対応できないと思われる。迅速に派遣可能なネットワークシステムの構築、相互の情報の共有と事前訓練(全国規模)、派遣が予想される獣医師の研修強化などが必要。

まとめ(特効薬はない)
 今回は初めての大規模感染症の発生例
 今後の防疫に如何に教訓とするか
 ○国・都道府県:防疫システムの一元的な管理システムの構築
 ○個々の酪農場:現在の衛生管理を徹底する
 〜効果的なバイオセキュリティは1サイズで誰にでも合う提案はない〜

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