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No.15 平成22年度酪総研シンポジウム「酪農現場におけるバイオセキュリティ 〜予防とリスク低減のために〜」 「リスク低減のための提言」 酪農学園大学獣医学部 学部長 林 正信

 ここでは、一般的な考えでのリスク管理という視点を加え、何かのおりに参考として役立つようなお話をしたい。

1.大規模感染症とそのリスク
 口蹄疫や鳥インフルエンザは、一旦、その発生を見ると何万頭、何万羽もの動物たちが処分されることとなり、地域経済を含めその損失は多大であり、まさに、大規模災害に相当するような損失を招くこととなる。

 地震・カミナリ・台風などの自然災害は防げるかというと、基本的には防げない。しかし、その被害は対応次第で少なくすることはできるといえる。

 感染症については発生のリスクをゼロにはできないが、リスクをどう下げるかは検討の余地があり、また、発生による被害を少なくすることはできる。リスク管理という視点からは、起こさないための「予防」と起きてしまったあとの「対応」という二つの考えに要約できる。

2.感染症について
 酪農現場における感染症対策は、非常に対象が多様といえる。

(1)一般対策としては

 (1)持ち込まない・入れない (2)拡げない・増やさない (3)持ち出さない・感染源にしない ということが原則となる。

(2)諸外国の侵入防止措置としては

(1)入国者に過去一定期間の海外における農場立ち入りの有無の申告(オーストラリア、米国)
(2)それら該当者に対し、国内の農場への一定期間の立ち入り禁止措置(韓国)
(3)肉製品などの持込みに対し、検疫探知犬などによる手荷物を中心とした持ち物の検疫強化(米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、韓国)
(4)靴底の溝が深いものは、必要に応じ充分な消毒、または廃棄(オーストラリア、ニュージーランド)
(5)畜産農家の帰国時に、申告の義務化など韓国で予定

(3)現状の日本では?

 発生国からの肉などの持ち込みは、原則禁止となっている。農水省からの要請(HP)をスライドに要約すると、

 ここで気になるのは、(1)海外からの入国者については、何も書いていないこと、(2)本当に、実効性があるのか、また、実際にどの程度行われているのか? 少し、疑問を持つところである。

(4)家畜伝染病予防法の改正(案)では

 空港・港で家畜検疫官が入国者や帰国者に質問して、口蹄疫ウイルスなどを国内に持ち込む恐れがあると判断した場合、海外で使用したゴルフシュ-ズなどを消毒できるように規制するよう改正され、水際については少し強化される予定。

 しかし、(1)実際の運用については? (2)実効性を如何に確認できるのか?その辺が問題である。

3.酪農現場での対策は
 (1)持ち込まない (2)入れない が原則で、スライドでは酪農総合研究所選書、 酪農学園大学の永幡先生がまとめられたポイントを引用している


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 また、農水省HPでも畜産農家の皆さんへ呼びかけを行っている。

 同じく、家畜伝染病予防法改正(案)でも、

(1)早期発見届出制度:届出が必要な家畜の症状を農林水産大臣が定め、都道府県知事への届出の義務づけ
(2)家畜の予防的殺処分
(3)処分家畜の補償制度などが報道されているが、その詳細は定かではない。

4.事故発生は完全に防げるか?

(1)水際防疫については、日本の場合、かなりの確度で可能であろうと思われるが、100%大丈夫ということは現状では有り得ない。極端な言い方をすると、故意の悪意でルール違反を行うということも出てくる。
(2)事故はどうして起きるのか? ということについて、感染症に係る直接的なことですと、若干、支障が生じることもあるかと思うので、以下、一般的な例でお話させていただく。

 N核関連施設)災害について、徹底した対策がとられているが、それでも、事故や汚染は起こっている。しかし、大災害が起こっておらず教訓とすべき点は多い。

次に、感染症対策としては、厳密な感染症対策がとられている「動物実験施設」があげられ、マウス・ラット・犬猫などを飼育し安全性試験などが行われており、ここでは、非常に厳しい管理基準、感染症対策がとられている。

(1)入退室管理基準:関係者以外の入室制限
(2)関連施設入室者の制限:(例:3週間以内に多施設に入室した者は入れない)
(3)使用者の定期的な教育訓練(研修会)
(4)動線の確保:清浄区域から汚染区域への一方向の動線確保 空調などの空気、飲料水、敷き料についても無菌的管理
(5)動物の検疫、消毒、SPF動物の導入
(6)動物の日々の健康管理と定期的な微生物モニタリング
(7)リスクは低減されるが、それでも汚染はおこる:その原因の殆どは、人間の身体に付着して、病原体が持ち込まれることにある。一旦発生した場合には、
⇒「オールアウト、オールイン」(全ての動物の入れ替え、消毒)や貴重な動物については、胚操作による無菌化が行われている。

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