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時の話題

No.15 平成22年度酪総研シンポジウム「酪農現場におけるバイオセキュリティ 〜予防とリスク低減のために〜」 第1部 「家畜伝染病の現状と課題、その対応について」 根室地区農業共済組合西春別支所 獣医師 佐藤 洋平

1.感染症とは
 感染症は、病原体が生体内に侵入して、生体に不利益な事が起こる。辞書(大辞泉)ではインフルエンザや赤痢・マラリアなどの伝染性のものと、破傷風・肺炎などの非伝染性のものがある。

 ウイルス、細菌(バクテリア)、寄生虫、異常プリオン、マイコプラズマ(これはバクテリアに入る)などが生体内に侵入し、増殖する事により宿主に不利益な事が起きる。感染条件は、生体免疫システムとの戦いになるが、感染したからといって発症するとは限らない。これらをどの様に見つけるかが我々の大きな仕事である。

 ウイルスにはBVD、白血病など、バクテリアにはサルモネラやヨーネ、黄色ブドウ球菌など、寄生虫にはクリプトスポリジウム、コクシジウム等がある。根室では、親牛の肺虫症感染例があり、今までかからないと思われていた病気が、かからないわけではないとの反省がある。それ以外は、真菌いわゆるカビ、マイコプラズマによる肺炎や乳房炎などが問題となっている。

2.感染症の問題点
 感染症の問題点としては、第一に農場での経済的損失が問題であり、汚染の可能性や抗生剤使用による乳廃棄の損失がある。

 2002年カナダの報告でBVD、牛白血病、ヨーネ病、ネオスポーラ症の経済的損失が計算され、それぞれの疾患で具体的に試算金額が示されている(Alfons Weersink et al, 2002)。

 サルモネラの一部の種類や黄色ブドウ球菌は、食中毒の原因として重要である。また、抗生剤使用による耐性菌の出現が人間界に影響を与える可能性があり、注意しなければならない。

 感染症による炎症は動物に痛みを伴うので、動物福祉の観点から如何に炎症を取り除き痛みを抑えるのかが問題となる。また、感染症の中には、法律で法定、届出などが定められており、速やかな診断、確定、対処が決められている。

 牛では、法定が26種類中15種類、届出では61種類中22種類、海外悪性伝染病では19種中10種類が定められている。

3.根室地区における発生状況
 根室地区の主要監視伝染病、ヨーネ病、牛白血病、破傷風、ネオスポーラ症、BVDV(牛ウイルス性下痢粘膜病)、IBR(牛伝染性鼻気管炎)の発生状況は図の通りである。IBRは平成18年頃からワクチン投与が開始され発生が抑えられている。BVDVは21年度から、バルク乳スクリーニングを行っているため増えているが次第に抑えられている。破傷風でも同様の推移を見せている。ヨーネ病では年によって違うがゼロにはなっていない。この疾病は押さえ込むのが大変で、一度感染したらなかなか農場から排除されず、新しい発症と言うよりも発症した農家が清浄化されないのが問題となっている。


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 根室地区の過去5年間のサルモネラ症の発症状況で、毎年のように発生し、多い年では30件300頭の発生がある。農場の様々な場所にこの菌が存在し、どのように地域で防衛するかが課題となっている。

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