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No.12 自給飼料『実証圃場』調査研究のまとめ 雪印種苗と雪印乳業の事業連携報告

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課題別の総括、及び今後の展望

【I】「作溝型更新機械」を活用した草地(簡易)更新(8ヵ所)

【II】イタリアンライグラスを活用した、「草地強害植物」(雑草)の抑制(4ヵ所)

【III】冬枯れ抵抗性アルファルファ『ケレス』の普及促進(6ヵ所)

【IV】耐病性F1トウモロコシ『ビビッド』などの普及促進(4ヵ所)

【V】冬作ライムギの導入(栽培)による、自給飼料作物の生産増強(2ヵ所)

【III】冬枯れ抵抗性アルファルファ『ケレス』の普及促進

【技術要素】
 新品種『ケレス』の特性を、良質自給飼料増産場面で発揮させる。
【ケレスの特性】
 (1)越冬性、永続性が優れ、全道で利用可能 (2)冷涼地帯で多発するソバカス病に強い (3)収量性が優れる (4)バーティシリウム萎ちょう病抵抗性品種
 ※育成段階から、雪印種苗(株)芽室試験地(十勝)、別海試験地(根室)で、系統の評価・選抜を実施、その結果、土壌凍結地帯での優れた適応性が付与されている。
【汎用性】
 今まで、アルファルファの栽培が困難とされてきた、十勝や根室においても、実用的な栽培が可能である。トライアルの大樹町A牧場、別海町B牧場では、播種6年目、利用5年目の混播草地が利用されており、その優れた適応性・永続性が実証されている。
【経 過】
 播種適期を遵守された中標津町C牧場、D牧場、大樹町E牧場などは、越冬後のスタンドも良好で、安定した収穫が期待できる。
 中標津町C牧場では、簡易更新と全面更新の比較も加味されており、全面更新区のスタンドが良好であった。簡易更新区については、追播などの救済手当てがなされている。
写真-1 中標津D牧場(21.4.20) 写真-2 大樹町E牧場(21.5.18)
写真-1 中標津D牧場(21.4.20) 写真-2 大樹町E牧場(21.5.18)

【経済性】
 本年、別海町「ケレス友の会」B牧場が「実証圃場」調査研究に加わった。6ヵ年にわたる「ケレス混播草地」が用意されており、自給飼料生産場面での経済性について検証を行い、その有利性を明らかにしたい。
写真-3 造成6年目 II番草(21.7.23) 写真-4 造成6年目 II番草(21.8.6)
写真-3 造成6年目 II番草(21.7.23) 写真-4 造成6年目 II番草(21.8.6)

【問題点】
 岩見沢市F牧場では、播種期が9月16日と、約1カ月遅れでのスタートとなった。芽だしは良好であったが、越冬態勢を確保するに至らず、春のスタンドは、崩壊状況であった。播種割合が、アルファルファ「ケレス」:チモシー「ホライズン」=3:1であり、播種期遅れと、播種割合が、結果的にミスマッチしており、鎮圧不足も足を引いている。
 4月2日に、再度、ブリリオンによる播種が行われており、今後の推移を見守りたい。
【今後の展望】
 この技術要素は、今春より、北海道と雪印グループとの包括連携協定の取組みテーマに採用されており、官民連携しての、一層の普及・促進が進行することとなった。

【IV】耐病性F1トウモロコシ『ビビッド』などの普及促進

【技術要素】
 ススモン病多発エリアでの高カロリー自給飼料の安定確保。
【ビビッドの特性】
(1) ススモン病抵抗性が極強 (2)耐倒伏性が極強 (3)雌穂は実入りが良く、TDN収量が高い、80日クラス
※雪印種苗(株)北海道研究農場では、育種母材・系統段階から、ススモン病の接種試験を重ねており、中でも『ビビッド』は抜群の抵抗性を示している。
【経 過】
 大樹町A牧場、B牧場は、連作のため例年ススモン病が激発していた。『ビビッド』の栽培によって、病気を回避した高品質F1トウモロコシサイレージを調製することができた。特に、A牧場は、アルファルファ『ケレス』混播草地の造成にも取り組んでおり、今後、両者の組み合わせ給与によって、経営の改善をはかることを視野に入れている。
 新冠町(株)NASでは、40ha強のラッピングサイレージ化を進めている。今のところ、ススモン病の発生も少なく、ニューデント105日、110日が栽培されている。
【汎用性】
 F1トウモロコシはTDN自給アップには最も適した作物と言え、畑作地帯における耕畜連携にも組み込みやすい作物であり、栽培の拡大が期待されている。
 『ビビッド』のススモン病抵抗性は抜群であるが、ニューデントシリーズのラインナップは、いずれも実用程度の抵抗性は備えており、地域、作付期間に応じた品種の選択が可能となっている。
【問題点】
 『ビビッド』は大変好評であり、種子生産以上の需要があり、当面は、ススモン病激発エリア(圃場)を中心とした活用が望まれている。
【今後の展望】
 配合飼料の高騰⇒F1トウモロコシ栽培の取組み強化、この図式は定着を辿るものと思われる。
 当面は、『ビビッド』を中心として、周辺クラス品種をもPRし、需要喚起へ上手につなげることを期待したい。

【V】冬作ライムギの導入(栽培)による、自給飼料作物の生産増強

【技術要素】
 ライムギ導入による、2年3作、自給飼料増産チャレンジ。
【導入場面】
 網走・北見管内は畑作がメインであるが、限られた土地資源を活用した酪農経営も展開されている。2年3作による増産を期待し、現在、清里町の2牧場が取り組んでいる。
【技術体系】
初年目 F1トウモロコシ栽培・収穫(9月下旬) →ライムギ播種(9月下旬〜10月上旬)
2年目 ライムギ栽培・収穫(6月上旬) →F1トウモロコシ播種・栽培(6月上旬)〜
    →F1トウモロコシ収穫(10月中〜下旬)
【汎用性】
 現在2年目が進行中、従って現状では、技術的・経営的評価は困難であり、今後の推移を見守りたい。
 ライムギが難しい場合は、イタリアンライグラスの組み込みが検討できる。
【問題点】
 積算温度条件が限られた北海道・当該エリアでは、(1)スピーディーな作業が要求されること (2)気象の年次変動による、収穫量・品質のブレが大きいこと、などが指摘できる。
【経 過】
 ライムギの収穫直前での評価は、「想像していたより、とれそう!!」との意見が多く、現地検討会では、今年の秋からチャレンジしたいとの周辺酪農家の手があがっていた。
写真-1 清里町A牧場ライムギ「キタミノリ」 写真-2 清里町B牧場ライムギ「R007」
写真-1 清里町A牧場ライムギ「キタミノリ」 写真-2 清里町B牧場ライムギ「R007」

【今後の展開】
 土地資源が少ないという制約のもとで、問題点で指摘したように、労働的に慌しくかつ気象条件に伴う不安定性がぬぐえないなど、難しい技術要素である。
 地球温暖化、耕畜連携、自給率向上など、フォーローの風がないでもないが、あくまでも個別経営での有利性があるかどうかを、慎重に判断してゆくことが重要と思われる。
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