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No.10 平成20年度酪総研シンポジウム「自給飼料の最大活用を実現する!!−乳牛改良の方向性と飼料生産の優良事例−」総合討議「総合討議の模様」

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(西根)   次に高山先生にはアルファルファとシバムギについて質問がきています。アルファルファについては「日本ではアメリカのようなアルファルファ単播草地は可能でしょうか?」という質問と、もう1つは端的に「シバムギ自体を改良して牧草として活用できないか?」という質問です。

(高山)   アルファルファの単播ですが、これは地域条件によります。例えば、福本さんがやっているチモシーとの混播はアルファルファ5kgですが、十勝の条件のよいところ、北見、網走、あるいは道央あたりは混播すると結果的にアルファルファ単播になってしまいます。そういう地域では可能かと思います。ただ、いろんな問題が出てきますので、作るのであれば危険分散の必要があります。例えば混播の割合をチモシー5kg、アルファルファ18kgと逆にして、初めは畑全面播くのではなくて試しにやってみるのがよいかと思います。ただし、コーティング種子で根粒菌をきちんと付ける必要があり、できれば以前アルファルファを作った経験のある畑だとより良いかと思います。
 あと、カルシウム、マグネシウムが重要です。いろいろな畑を分析すると、PH6.2のレベルでもカルシウム含量が低い畑もあります。アメリカのコロンビア州やワシントン州などはいつも種採りをしているようなところですが、土作りなど余り考えていません。日本では堆肥を入れなければいけない砂のような土壌ですが、彼らにはそんな有機物は持っていません。そういう場所でも可能なことを考えると、向こうは大陸気候でどんどん蒸散し、土壌の上部にアルカリ分というかカルシウム分が溜まってくるのだと思います。やはりそこが重要なのだと思います。中国の荒涼としたところでも、内陸に入ればアルファルファの立派な草地があります。決してそこには堆肥は入っていません。そこのところを農場の仲間ともう少し詰めていきたいと考えています。ただ、実際にはアルファルファ単播でやっている農家もいますので、別海では福本さんがチャレンジしていただければ地域貢献になるのではないかと勝手に思っています。
 次にシバムギですが、農場の仲間でもそういう話が出るのですが、種子が非常に採りにくく、なかなか難しいと思います。それよりもまだ改良の余地があるのはリードカナリーだと思います。リードカナリーでよいサイレージを作っている人もいますし、リードカナリーがベースにならざるを得ない土地条件で立派な飼養管理をしている人もいます。シバムギについては、一部東北農試が材料を集めていたというのは聞いたことがあるのですが、その後はわかりません。ただ、世界は広く、シバムギの品種改良をやっていたアメリカの大学の先生に一度会ってきたことがありますが、個体選抜をして何に使うかというと、向こうは旱魃で緑が少ないので、飼料用ではなくロードサイド用に利用しているという話でした。シバムギは上手く作っている人もいると思いますが、肥料を入れすぎたら窒素を吸いすぎてカリを吸ってしまうということで、逆に肥料を減らしたら今度は収量がとれず、やはり煮ても焼いても食えないと思っています。リードカナリーならちょっと早めに刈るなどもう少し手の打ちようがありますので、おそらく道北の方でチャレンジしている人もいるのではないかと思います。

(西根)   福本さん、何かアルファルファの単播についてご意見ございますか?

(福本)   今まで考えてなかったのですが、アルファルファの単播をサイレージにして牛に食べさすことは少し難しい気がします。別海はアメリカのような乾燥地帯ではなくルーサンヘイなどは無理であり、あまり単播にする必要はないと思っています。

(西根)   本日のシンポジウムは技術的な部分に焦点を当てた訳ですが、やはり福本さん、山本さんにお聞きしたいのは経営的な部分でないかと思います。福本さんにはアルファルファを導入されてから5年、経済的な効果で実感されている点、苦労された点などをお話いただければと思います。山本さんには、非常に配合飼料が高くなりTMRの利用価値が上がったとか、運営の面で苦労されている点などをお聞きしたいと思います。

(福本)   アルファルファ混播のサイレージについては、去年は1番草でバンガーサイロ2本、2番草で1本できるようになったので、今は1番と2番を混ぜてTMRで給与していますが、配合飼料は1回で100kgくらい減らしても乳量は若干伸びています。1日でいえば配合飼料は1日に300kg減らすことができています。
 苦労話は特にないのですが、今の若い農家は私の息子を含めてあまり畑を見ることが少ないと感じています。そういう点で、牧草を作ることによって現地でいろいろな研修を行い、皆で畑を見るといったことが今後の自給飼料の増産のためには必要かと思っています。ただ、アルファルファというのはどこかで難しいと皆思うのか、研修をやっても農家10人も集まればよいという現状です。現在、別海もアルファルファ混播の草地が300haくらいになってきたので、あちこちでこういった畑が見られるようになれば、また多くの人が集まって研究するようになるのではないかと思っています。

(山本)   配合飼料が昨年、一昨年と高騰してきた時期に、たまたま私どものTMRセンターを設立したのですが、やはりスケールメリットがある中で、他の農家より若干安く配合飼料を手に入れることができてよかったと感じています。
 苦労話としては、挙げればきりがないのですが、まだ3年しか経過してない中でわからないことだらけであり、皆で話し合いながらよい方向に向かっていこうというような形で進んでいる段階です。

(西根)   ここで会場からの質問はありませんでしょうか?

(会場からの質問)
 大学の農場では、アルファルファ単播で刻んでバンガーサイロに入れたものは問題ないが、ロールサイレージを育成牛に給与すると茎が硬すぎて食べないという問題がある。そういう場合、どういった方法でロールサイレージを食わせられるか?という事例、あるいは今後、茎を細くしても倒れないという改良の方向性はあるのか?をお聞きしたい。

(高山)   食べさせる方法については、専門家の方が何人か見受けられるのでアドバイスいただければと思います。育種についてはアメリカが1番進んでいまして、その方向としては、1番は耐冬性、凍害への抵抗性であります。今ではグリムという品種を導入したおかげでアメリカより北のカナダでも栽培可能になり、それで凍害にも強い品種ができました。また、大面積で連作になりますので、フィトフィトーラ、バーテシリウムなどの病気が出てくることから、次に行ったのが耐病性の育種で、なおかついろいろな病気に強いものをつくろうとしています。7〜8年前は今の質問のように、栄養価、特にあれだけタンパクが高いアルファルファをもっとタンパクが高くて茎が細く、産乳の効果が高い育種を行っていました。
 では私の育種のレベルがどういうかと、ひょっとしたら同時並行かもしれませんが、まだまだ耐病性、耐冬性のレベルだと思います。茎の細いものをつくっていくとやはり倒伏してしまいます。細くて永続性のあるものは私の材料にもあるのですが、なかなかそこがクリアできません。ただ、アルファルファは北から南まで世界中で作られており、8回でも刈れるものもあれば逆に9月以降まったく伸びないものもあります。可能性としてはまだまだ良い品種が出てくると思っています。

(山下)   それでは、会場に天北農試の宮崎部長さんが来られておりますので、この質問に
対して何かよい事例がありましたらご紹介いただければと思います。

(宮崎)   天北ではアルファルファは個別農家で少しずつ作られ、混播が主体で利用されて
いる現状であります。その中でアルファルファだけでロールをつくるという事例は見ていないのでちょっとお答えすることは難しいです。

(西根)   それでは最後に山下の方から総合討議のまとめをさせていただきます。

(山下)   現在の情勢の中、自給飼料を増産することについては、政府も道も、私たち民間も、酪農家の皆さんもそういう方向で努力されている訳ですが、実際に生産に直結して頑張っているのは乳牛であり、今回は単に自給飼料だけではなく、その乳牛の部分にも少し自給飼料の強化と何か結びつくものがないかということで、田鎖先生にその基調講演をいただきました。

  また、第一線で自給飼料に取り組んでおられるお二人、福本さんはケレス友の会の中で仲間とともにアルファルファの栽培に取り組み、地域全般に広げていきたいという使命を持っておられます。山本さんはTMRという組織化の下で、地域、そして先ほどの質問の答えにもありましたが、仲間が運悪く自給飼料生産ができないというは今後もどこにでも起こり得る状況であります。そういう中で、TMRの組織化がいくらかでもそういった場面のバッファーというか、救済できるような手段となっていけば、少なからず地域が発展していく礎の一つになるのではないかと思いました。

  高山場長におかれては、ブリーダーでありながら、最も北海道全体の草地、飼料作の場面を歩かれているということで、農場の話にとどまらず現場の話を中心に新しい技術の紹介をしていただきました。

  特にこれ以上どういった形でまとめるという訳ではありませんが、本日ご参加いただいた皆様におかれましては、今後、酪農畜産が進むべき1つの方向を掴み取っていただけたのではないかと思います。またこれを機会に、本日壇上におられます、それぞれの先生方とも連携をとりながら、力強い酪農畜産の発展のために共に進んでいきたいと考えます。
 特に今年は丑年であり、本年の酪農畜産発展のためにそれぞれがご努力いただければ今回のシンポジウムの目的を達成できるものと考えます。

  本日はご参加いただき誠にありがとうございました。

以上

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