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広報「酪総研」

時の話題

No.10 平成20年度酪総研シンポジウム「自給飼料の最大活用を実現する!!−乳牛改良の方向性と飼料生産の優良事例−」総合討議「総合討議の模様」

パネラー
(講演者)
(独)北海道農業研究センター 主任研究員 田鎖 直澄氏
別海町 北矢ケレス友の会 福本 弘一氏(酪農家)
広尾町 (有)サンタドリームサプライ 山本 利浩氏(酪農家)
雪印種苗(株)北海道研究農場 場長 高山 光男氏
※以下敬称略
(座長)
雪印乳業(株)酪農総合研究所 部長 西根 俊政
          〃          顧問 山下 太郎

(西根)   まずはそれぞれの先生におかれまして、講演の中で言い足りなかったこと、補足したいことなどあるかと思いますが、その部分について一言ずついただきたいと思います。

(田鎖)   今後の酪農経営を考えてみますと、今までの何も考えない高能力化がよいのか?それともしっかりと協調をとった高能力がよいのか?そこをどう選択するかで大きく変わってくるかと思います。その中で泌乳持続性というものを紹介させていただきました。

(福本)   講演の中でも話しましたが、アルファルファの場合、次の年にどれだけ株を残しているかが一番重要であると思います。その後普通の混播牧草と同じような管理をすれば永続していくのではないかと思っています。

(山本)   特に言い足りなかったことはありません。

(高山)   福本さんの栽培管理、特にスラリーを上手く利用して足りないカルシウム、リン酸をきちんと補完しているという点が非常に参考になりました。それによってアルファルファが定着しているのだと思います。やみくもにアルファルファを入れればどうにかなるような話ではなく、アルファルファの栽培歴がない圃場は、ぜひ1haに一握りでよいのでアルファルファをつくり、根粒菌を定着させれば次のアルファルファの栽培がしやすくなります。
 もう1つ、運賃は上がっているが唯一値上がりしていない、国産のカルシウムが山にたくさんあり、あとビート工場にもライムケーキがあります。今まで糞尿をやり続け、リン酸がかなりある畑があると思いますが、そのリン酸が枯渇しないうちにスラリーとカルシウムを使っていただき、そこに私達のつくった品種を入れてもらえればと考えています。

(西根)   次に皆さんからいただいた質問表についてお答えいただきたいと思います。まず、田鎖先生に対する質問は2問ですが、1つ目は「高持続性型遺伝形質の具体的な展開方法は?その方法論をお答えいただきたい」という質問、もう1つは「この遺伝的形質は牧場とタイアップして試験するという話でしたが、個体改良という点でブリーディング会社とのタイアップは考えていないのか?」という質問です。

(田鎖)   具体的にはこれから農家が自分の経営の雌牛について、この牛にはこの種雄牛を種付けするのが妥当であるという簡単なツールを構築、提供していきたいと考えています。ただ、持続性の指標が出ているだけでは使い勝手が悪いので、現在プロトタイプ的なものはありますが、それを上手く改良して皆さんに使っていただけるよう構築していきたいと考えています。
 そうした中で、飼料の利用性などですが、間違いなく配合飼料の節減や飼い易い牛になることにつながると思います。ただその部分の実証データが薄いので、そこの部分をきちんと実証していきたいと考えています。もう少しすると具体的にお示しできると思いますのでご期待いただきたいと思います。
 もう1点、そういった研究の応用技術展開を図る中で、ブリーディング会社と連携をとれないかという話ですが、まだ具体的には突き詰めて話したことがない内容です。講演の中で酪農家募集中と言いましたが、これは研究の仕組みとして今まさにスタートするところまできたものをご紹介しました。これからどういう応用技術展開するかを考えなければいけないので、どのセクターの方でもお話を投げかけていただければその時には考えていきたいと思っています。

(西根)   次に福本さんへの質問ですが、1つは「酸性の土壌でアルファルファの栽培をしていますが、どのような方法でやっているのか?」、2つ目は「今後ケレスの混播割合をどのように考えていますか?」という2つの質問がきています。

(福本)   1問目については講演の中でも言いましたが、土壌にはライムケーキを散布しており、ライムスプレッダーというマニュアスプレッダーにライムケーキを拡散するような円盤を付けたものを使って畑をつくっていきます。コストは製糖工場からの運賃込みでダンプ1台あたり10,500円(別海農協価格)です。この他にライムスプレッダーの借り賃として、機械送料込みでダンプ1台あたり16,500円程度かかっています。
 次に混播割合ですが、今はチモシー18kg、アルファルファ5kgで混播しています。20年度はチモシー、試しにクンプウを混播してみました。理由は、講演でもいいましたが、9月に収穫して越冬するまでに30〜40cmくらい伸びるので、クンプウを入れると、刈取が1番で10日、2番で10日縮めることができ、3番も刈ることができるのではないかと思い、試しています。

(西根)   次に山本さんへの質問ですが、1つ目は「TMR以外に補助飼料の給与を行っていますか?」という質問です。2つ目は「今後、家畜糞尿を利用した堆肥を生産し、牧草地に還元するなど耕畜連携による循環型農畜産業を目指すことなどを視野に入れていますか?」という質問ですが、この質問には、こういう情勢の中、モデル的な農場になり得るのではないかという期待も込められています。また、3問目に「地域貢献として労働力不足の農家にTMRを供給することが可能ですか?」という質問がきております。2番目の耕畜連携については高山場長もご意見があるかと思われますのでよろしくお願いします。

(山本)   補助飼料についてはトップドレスでの配合飼料給与と理解しましたが、現在はやっている構成員はいません。現状、TMRの基準濃度が乳量34kg設定のみで、搾乳用はそれ一種類のみです。TMRセンターがスタートしたときはもう少し濃度が低いTMRをつくっていたので、その時はトップドレスしていましたが、徐々に濃度を上げていき、最終的に33〜34kg乳量の設定となっています。2問目の質問については高山先生と重複する部分がありますので後にさせてください。
 3問目については、平成19年に構成員が1戸増えたという話をしましたが、それが1つの例であります。家の事情で搾乳はできるが畑の収穫、管理ができないということで何とかセンターで面倒みてくれないかということから始まりました。その農家は搾乳牛100頭規模で、ちょっと調整した形で1戸引き入れた経過にありますが、現状では何とかなるかなという感じです。ただ、これが2戸、3戸と増えていくと厳しい状況になります。そのときは管理作業を含めて外部委託も考える必要がかなり出てくるかと思います。
 2問目については、講演の中でも高山先生が話されていましたが、家畜の頭数が増えてきて牧草畑やデントコーン畑に大量に糞尿を漉き込むようになり、減肥しないとサイレージの発酵品質が何故かよくないということに10年ほど前に気付きました。適期に収穫し、鎮圧、早期密閉もして、何も問題のないように思えても、いざスタックを開けると臭いが良くない、色も真っ黒で牛に食べさせると病気になる、何かがおかしいと思ったのが10年前のことでした。そこでいろんな人の話を聞き、化成肥料を思い切って減らすことを構成員全員にやってもらっているのが現状です。ただ、実際に自分の堆肥を分析している訳ではないので、化成肥料をどこまで減らせるかはわかりません。そこで、毎年kg単位で化成肥料を減らしながら畑の状態を見ています。このどこまで減らすことが可能かという点については高山先生にお答えいただければと思います。

(高山)   今、根釧農試で施肥管理者育成を行っていますが、スラリーの成分自体が農家によって違うため一概には言えないのが実情です。実際に施肥設計してみると、やり過ぎる人もいるが、逆に足りていない人もいる。個別の堆肥までというところではやはり分析が必要ですが、イメージ的にはスラリーは窒素とカリが十分あり、液肥のように効くと思います。あと春にたっぷり畑に入れると1番草に入ってしまうので、その部分で余ったものを耕種農家の畑に持っていけると思います。
 ただ、耕畜連携と言ってもいろんな形があると思います。私は畑の専門家ではないのですが、品目横断で作るものが決まってしまい、実は畑が余っているような人もいた。そういう人は何をするのかといったら、雪印の緑肥をつくりたいという人もいた。やはりお互いに利害が一致しないとなかなか上手くいかない話だと思います。そういう畑が余っているという耕種農家が出てくれば、そこで頭数を増やした酪農家がトウモロコシを作らせてもらうことも考えられます。ただ牧草をつくるという訳にはいきません。牧草はだいたい永年草なので、畑を3年間酪農家に貸すという訳にはいかないでしょう。一部で、イタリアンでリードカナリーをやっつけようという話をすると、イタリアンは一年草なのでそれを作れないかという話もあります。特に道東では雑草化しないで枯れてなくなってしまうので、そういったことも可能性として考えられます。

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