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広報「酪総研」

時の話題

No.10 平成20年度酪総研シンポジウム「自給飼料の最大活用を実現する!!−乳牛改良の方向性と飼料生産の優良事例−」第3講演(事例紹介)「南十勝における自給飼料作物の生産・利用強化の取り組み」北海道広尾町 (有)サンタドリームサプライ 山本 利浩

TMRセンター設立の背景
 TMRセンター設立以前は構成員のほとんどが共同収穫作業体型を組んでいた。しかし、規模拡大による家畜管理時間の増加、共同作業出役負担の増大により、決まった作業時間での出役ができず、適期収穫作業が難しい状況となってきた。さらに、規模拡大を目指す構成員においては、粗飼料不足も懸念される状況となってきた。

  このような背景の下、近隣農家5戸を構成員として平成17年1月21日有限会社サンタドリームサプライを設立、平成19年より1戸の構成員が加わり現在は6戸で運営している。

山本牧場の概要 (有)サンタドリームサプライの概要
主な施設 主な作業機械

粗飼料収穫体系の取り組み
 地元の建設業協会との連携をとることによって自走式ハーベスターのオペレーターやサイレージの鎮圧作業を外部に委託。定時・適期収穫を実現、併せてTMRの製造・供給という一連の作業も外部に完全委託している。また、TMRセンターに粗飼料を一元集荷・貯蔵することにより、サイレージの品質安定化を図っている。

TMRの調製、受け入れ、給餌作業
 TMRの調製は地元の建設業協会に委託。各構成員へ必要な量だけ搾乳用のTMRと若牛・乾乳用のTMRが毎日ほぼ決まった時間に配送されている。

  TMRの給餌方法については手押しカートでの給餌やエンジン付の給餌カートと様々であり、TMRセンターに隣接している構成員においては、委託業者がTMRミキサーで直接給餌するシステムになっている。

自給粗飼料品質安定への取り組み
 各圃場ごとに土壌分析を実施し、土壌分析結果を基に土壌改良材や化学肥料の施肥設計へ反映させている。カルシウム資材の検討については、配合飼料が高騰したことから、自給飼料の栄養価値を高めるため、ルーサンの作付を予定しており、計画的に圃場毎にカルシウム資材を投入している。サイレージは全て2週間に1度の割合で栄養分析し、TMRの設計に役立てている。トウモロコシの品種は、すすもん病を始めとする耐病性品種や倒伏に強い品種、合わせて、乾物当たりTDN収量の多い品種等を考慮して選定している。

  また、サイレージは分析結果に基づき契約しているコンサルタントの元で分析結果が出る度に適正なTMRを設計してもらっている。

組織のトータル目標
 作業を外部委託したことによる、構成員の労働力の削減。士気高揚については、規模拡大や経営改善による営農意欲の喚起。地元建設業者との連携による地域の活性化。TMRセンターは今後の方向性の一つとしてモデル的な存在となると考えている。

現状の取り組みと期待される効果
 労働力の確保とコントラクター事業の展開について、今は粗飼料の収穫作業とTMRの調製作業を委託。効果としては、定時の作業開始・終了により作業効率が向上した。また収穫作業、TMRの調製作業を外部委託することにより構成員の労働力削減につながった。さらにはTMRセンター自体で従業員を雇用していないため、休日や労働時間の管理・福利厚生費や確定申告等の事務処理が簡素化されて経費が節減された。

  なお、TMRセンターで労働力が軽減された分、あるいは作業効率が向上して機械に余力が出た部分を外部へのコントラクター事業という形で地域へ貢献している。

圃場の効率化
 圃場を団地化することにより、大型の作業機械の能力を最大限に発揮。圃場をある一定の大きさで団地化することが作業効率の向上あるいは作業時間の短縮につながっている。さらに担当オペレーターを専従化することにより、機械のトラブルも減少、耕起・整地・播種作業等一連の作業の同時進行が可能となり、オペレーターの作業の効率化につながった。

機械費および購入飼料費、肥料費の節減
 個別で所有していた作業機をTMRセンターで必要とする機械だけを構成員より購入、その他の余剰作業機については各自で処分、TMRセンターで機械を所有する事により個別で所有した時と比べると維持管理費の低減につながっている。さらに、新規に機械の投資をしても構成員個人に対する資金償還圧が減少している。

  購入飼料については、配合飼料の高騰から良質自給飼料確保と言う意味で一昨年よりトウモロコシの作付面積を大幅に増加、トウモロコシサイレージ多給の給与形態に切り替えた。また、給与形態に合わせた指定配合飼料の利用により、使用する単味飼料の種類や量を大幅に減少、また、スケールメリットを生かして、ビタミン剤等をコンテナ単位、あるいはトレーラー単位で購入することにより、配送運賃の低減を図っている。

  肥料費については、堆肥の有効利用を心がけている。堆肥には窒素とカリが含まれていてリン酸が少ないことから、毎日牛舎から出る堆肥にリン酸資材と苦土タンカルを混ぜると同時に、堆肥発酵促進剤も毎日混ぜて堆肥造りをしている。これにより、化成肥料を基準施肥量の半分まで節減しても、町内の平均反収を上回る収量を確保している。

飼養管理の充実
 作業を外部委託することで飼養管理・観察時間を確保又は増加させることができ、発情の発見や疾病の早期発見、早期治療と言ったことが可能になった。併せて適正なTMRが給与されることにより個体乳量が増加して乳成分の変動も少なくなった。

  平成19年に新たに加わった構成員データーを見ても、TMRセンターから餌の供給が始まった月から個体乳量が増加、月別の出荷乳量と搾乳牛頭数の推移についても、年度を通して頭数がほとんど変わらないにもかかわらず、月の出荷乳量は前年を上回っている。

今後の課題と将来展望
  より効率の良い酪農経営を目指して収穫作業・飼料調製作業を今まで通りの分業化を継続していく事はもちろんだが、今まで構成員で出役していた圃場管理作業も委託化して構成員の作業負荷軽減に努めることが課題である。

  将来の展望としては労働時間の低減でゆとりのある酪農経営を目指す。そしてさらなる経営規模拡大に挑戦する。今行っているTMRセンターを核にさらなる地域発展に貢献したいと考えている。

以上